敵のリソースさえも活用する。

敵のリソースさえも活用する。

「孫子の兵法」の第六項目(第二章作戦篇)に「智将は務めて敵に食む」という言葉がある。

この項をわかりやすく意訳すると以下の通り。

「戦争には食料や武器などのリソースが多大に必要である。当然ながら戦地が遠くなればなるほど食料などの資源が欠乏し、戦いは苦しくなるのは目に見えている。食料などの資源が足りなくなれば、その地の商人たちはきっと高い値段でふっかけてくるに違いない。お金が足りなくなれば政府は税金を高くするしかないので、国民は困窮してしまうだろう。

だから、賢い智将はこう考えるべきだ。それは、食料などのリソースは戦地で調達せよと。これが最も効率が良い考え方である。」

この考え方は会社経営でも肝要だ。この考え方とは、以下に自社のリソースを使わず儲けるかということ。

私は仕事柄、「独立起業」の相談に乗ることも多い。その際、よくある相談の一つに「資金がないから起業できない」というもの。孫子が聞いたらきっと怒るだろう。自分のリソースがないことで悩むなら戦争など勝てやしない。そのようなものは「相手先で調達すればよいだろう」と。

実際に、私の知人でどうしても買いたい不動産投資物件あった。しかしながら、額が大きすぎて資金が足りない。銀行にも相談したがそのような高い金額のお金は貸し出せないと言われた。

知人は諦めたか?いいや、そこで彼は孫子の兵法のこの句を思い出した。「智将は務めて敵に食む」と。

彼はなんと売り手に「お金がなくて買えないので工面してほしい」と相談したのだ。売り手も事情があって早く手放したいと考えていた。結果、彼は売り手からお金を借りることで、その物件を購入することができてしまった。まさに智将である。

他にも若干状況は異なるが、企業買収の世界には「レバレッジド・バイアウト(LBO)」という手法がある。これなどはまさに「敵地」のリソースを活用して、自社の資金を極力使わず企業買収を成功させる方法だ(買収先は決して敵ではないが・・・)。具体的に説明すると、買収先の資産を元に、買収先名義で借金などして資金調達する方法である。例えば、ソフトバンクは携帯電話事業に参入する時、イギリスのボーダフォン社をLBOで手に入れた。

このように、自社にリソースがないからといって、決して事業を諦めてはいけない。なければ工夫をして調達すればいい。それは孫子の兵法いわく敵を含め、あらゆる角度から考えることだ。できるだけ自社のリソースを使わずに戦争に勝つことこそ、孫子の兵法では賢い戦い方であると説いている。実際にソフトバンクの孫正義社長は「孫子の兵法」の愛読者でもある。

 

(Visited 22 times, 1 visits today)