「守り」を意識して起業する。

「守り」を意識して起業する。

「創業、守成の称は、開国、継世をはん言するのみ。その実はすなわち創業の内に守成有り、守成の中に創業あり。ただよく守成す、これをもって創業す。ただよく創業す、これをもって守成す。」

これは佐藤一斎『言志四録』の言志晩録第一二八条に書かれた言葉である。

現代語訳にすると以下の通り。

「創業(業を始める、国を創る)と、守成(創業者の後を守ること)とは、一般的に国を開くということと、世を継いでいくことをいう。

その実際は、創業の内に守成があり、守成の中に創業がある。

ただよく守成する者が創業する。ただよく創業するものが、よく守成する。」

これだけだとわかりづらいかもしれない。

わかりやすくいえば要するに、創業時はディフェンスを意識し、二代目、三代目などは逆にオフェンスを意識せよということ。

確かに世の中を見ていると、創業者は攻撃的で攻めが得意だが、守りの部分で足を救われて失脚することが少なからずある。

例えば、イケイケドンドンで突き進み、メディアに露出しまくったり、スキャンダルで失脚したり、脱税などで逮捕されてしまうなど。易経でいうまさに「亢龍」。「陰」である守成を怠った結果である。

 

柔道では最初に何を習うか?「受け身」である。背負い投げや内股などの投げ方を最初に決して習わせてくれない。

なぜか?

受け身を知らずして投げられたら、大怪我してしまうからだ。下手すると死んでしまう。だからこそ、「守り」から習うのだ。

 

では、商売でいう守りとは何か?

わかりやすいものでは「法律」や「会計」であろう。「法律」は資本主義経済で活動する上で必須の知識であり、これを犯すとペナルティが課せられてしまう。私の周りでも稼いでいる人はみな法律に詳しい。

「会計」も会社を守る上で必須の知識である。なぜなら、お金がどう動いているか?を把握するためにどうしても必要だからだ。体重計がなければダイエットが困難になるのと同様である。商売も数字を計測しなければ目標達成は難しい。

 

わかりにくいものでは「道徳」や「心理」などの精神面も守りに関わる要素だ。登りつめた時に失脚してしまうのは道徳の部分の欠如がもたらすことが多い。常に「謙虚」な精神を養う上でも道徳的な守りの勉強は欠かせない。特に創業者はイケイケドンドンな性格のため気をつけたほうがいいだろう。

シェークスピアの「リア王」でも登りつめた後に裸の王様状態になってしまった。大切な進言がされるも聞く耳を持たずに最後は不幸になってしまう。これは創業者はぜひとも意識しておく必要があるだろう。

 

対極的に二代目、三代目などは、守りに撤しすぎて、官僚化してしまい、イノベーションが起きず、衰退していくことが多い。

もっとも身近な例を挙げれば、日本経済そのものがそうだろう。失われた20年と言われるのは創業ではなく守成で来てしまったからである。佐藤一斎に言わせれば、今はまさに創業イノベーションが大事な時期であろう。

二代目、三代目で花開いたケースとして有名なのは、ユニクロの柳井正氏や、ヤマト運輸の故・小倉昌男氏などがあげられる。まさに守成の中に「創業」して大飛躍させたお手本のようなケースである。

このように創業時は守成を心がけ、守成時は創業を心がけると、良いバランスが取れて商売もうまくいきやすい。

 

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