利益を増やすより、損失を減らす方が簡単。

利益を増やすより、損失を減らす方が簡単。

「財を賑わすは租を免ずるにしかず。利を興すは害を除くにしかず。」

これは佐藤一斎『言志四録』の『晩録』第一三一条に書かれた言葉である。

現代語訳は以下の通り。

「国民の財産を豊かにするには税金を減らすことである。利益を増やすより損失を減らしてやる方が良い。」ということ。

これは非常に含蓄のある言葉である。儲かっていない商売人や起業家は、ついつい利益を増やすために新規事業や新商品の取り扱いをしがちである。

ところが、佐藤一斎はそうではなく、「まずは損失を取り除くことが先だ」と言っている。

私も全く同様の意見で、経営コンサルティングの依頼が来た場合も利益を増やすより、まずは不採算事業の撤退など損失を減らすことから手をつけることが多い。いわゆる事業の断捨離だ。

例えば、故スティーブ・ジョブズもアップルのCEOに返り咲いた時、アップルの業績は見るに耐えない状態だった。その際、まっさきに手をつけたのが「不採算事業の撤退」である。

取り扱っていた15ものデスクトップパソコンを一機種に絞り込み、あとはすべて捨てた。多数あったノートパソコンも一機種に絞り込んだ。さらにソフトウェアの開発も撤退。代理店も6系列と契約していたが5系列をカットした。製造部門もほとんど撤退し、台湾の製造請負企業に切り替えた。

それからの成長はみなさんご存知の通りである。スティーブ・ジョブズはいきなりスマートフォンなどの利益が出る新規事業に着手したわけではない。最初は損失の出ている不採算事業の撤退を始めたのだ。しかし、単純にカットして商品品質を下げ、顧客満足度を下げたというわけではない。そうすることで、結果として残った商品やサービスのクオリティが上がり、顧客満足度向上につながったわけだ。

このように、業績がよくない時に商売人がやるべきことは利益を出すことより、まずは損失を減らすことである。その方が容易に手をつけやすいし、成功確率も高い。商品やサービスの品質も上がりやすく、顧客満足度も高まりやすい。それから体力をつけた後、次の新規事業や新商品を取り扱うと成功しやすいのである。

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